NVIDIA A800搭載マシン

金属材料の研究に携わるお客様より、MD計算のためのマシン導入をご相談いただきました。
具体的には想定されているスペックは以下の通りで、予算700万~800万円の範囲で実現できる構成の提案をご希望です。

GPU:可能であればA100、もしくはV100を複数
CPU:Xeon 2CPU構成
ストレージ:2TB SSD + 4TB HDD
メモリ:256GB

使用ソフトウェアは、Quantum Espresso、LAMMPS、Advance Nanolabo、NeuralMD、CUDA Toolkit、MATLABで、OSとしてAlmaLinux 9をプリインストールした状態での出荷をご指定です。また、使用予定のソフトウェアについて、複数のGPUを搭載した構成にするメリットはあるかとのご質問もいただいています。

また、テグシスWEB内でクラスター化の提案事例をご覧いただいており、今回の用途では拡張性のあるマシンとクラスター構成のどちらが良いか、2CPU構成の挙動に注意点などがあるか、といったご質問もいただいています。

CPU Intel Xeon Platinum 8568Y+ 2.30GHz(TB 4.10GHz) 48C/96T × 2
メモリ 合計 256GB DDR5 5600 REG ECC 32GB × 8
ストレージ1 2TB SSD M.2 NVMe Gen4
ストレージ2 4TB HDD S-ATA
ビデオ NVIDIA T400 4GB (MiniDisplayPort x3)
GPU NVIDIA A800 40GB Active
ネットワーク on board (10GBase-T x2)
筐体+電源 タワー型筐体 + 1500W
OS AlmaLinux 9

GPUについて

倍精度指定の場合はNVIDIA A800 40GBが現行品として適しています。ただし、NVIDIA A800 40GBには画面出力がないため、Matlabを使用する場合には、画面出力用としてT400のようなカードを追加することをお勧めします。

2CPU構成について

2CPU構成に関しては、OS上では合計コア数として認識されるため、特別な動作をするわけではありません。ただし、詳細に見ていくと、CPU間は高速なバスで接続されていますが、メモリとGPUが搭載されるPCI-EバスはそれぞれのCPUごとに接続されています。そのため、一方のCPUが管理しているメモリアドレスやGPUにアクセスする際にはCPU間の接続バス(UPI)を経由する必要があり、そこで若干の遅延が発生する可能性があります。

NanoLaboについて

NanoLabo自体はCPUコア数が多いほど処理能力が向上します。

複数GPUでのNeuralMDの計算は並列化効率が高いため、N枚のGPUを使用すれば計算速度はN倍になります。1枚のGPUで計算するよりも2枚で計算した方が2倍速いですが、ハードウェアの価格も2倍です。そのためGPUの枚数は、計算時間を重視するのか、価格を重視するのかといった利用目的と費用対効果に応じて決められます。また、複数GPU搭載時のNVLink BridgeやNVSwitchなどは不要です。

拡張性を持たせたマシンとクラスター構成のどちらが良いかについては、ソフトウェア的には、どちらの構成でも計算速度などの性能に影響はありません。冷却や騒音などのハードウェア的な観点からご選択ください。

■キーワード

・Quantum Espressoとは

Quantum Espresso (クオンタムエスプレッソ) は、GNU General Public Licenseで無料配布されているFortran95で記述されたオープンソースソフトウェア。第一原理電子状態計算プログラム。第一原理計算コードで、密度汎関数理論に基づいている。 原子の位置やセルの構造最適化、電子状態やバンド構造の計算、フォノンによる振動解析、中性子散乱の計算が可能で、マルチプラットフォームで動作し、MPIとOpenMPによる並列化に対応している。 材料物性の理論解析や新物質探索に広く利用され、計算生物学においても有用なツールの1つとなっている。

参考:Home Page – Quantum Espresso ※外部サイトに飛びます

・LAMMPSとは

LAMMPS (Large-scale Atomic/Molecular Massively Parallel Simulator) は、米国のサンディア国立研究所で開発されたオープンソースの分子動力学計算アプリケーション。パラメータ設定により対応する力場の幅広さと柔軟さに定評がある。

参考:LAMMPS Molecular Dynamics Simulator ※外部サイトに飛びます

・Advance/NanoLaboとは

Advance/NanoLaboは初心者向けに設計された材料シミュレーター。直感的で使いやすいGUIや多彩なモデリング機能、NeuralNetwork力場にも対応などの特長を持つ。実験研究者などの初心者でも簡単に扱うことができる点が魅力。

参考:Advance/NanoLabo (アドバンスソフト株式会社) ※外部サイトに飛びます

・NeuralMDとは

NeuralMDは、ニューラルネットワークポテンシャル(Neural Network Potential)に基づいた分子動力学計算のソフトウェア。第一原理計算よりも高速で、かつ既存の分子動力学計算よりも高精度な計算を可能にする。

参考:Advance/NeuralMD – Advance/NanoLabo ※外部サイトに飛びます

・CUDA Toolkitとは
CUDA Toolkitは、NVIDIAが提供しているGPU向けのパラレルコンピューティングプラットフォーム。C/C++からNVIDIAのGPUアーキテクチャを利用した高速なパラレルプログラミングが可能。DeepLearningや科学計算、コンピュータグラフィックスなど、様々な分野でGPUの計算能力を活かすことができる。コンパイラ、ライブラリ、デバッガなどのツールが含まれており、SDKとして提供されている。マルチGPU環境もサポートしており、ワークステーションからクラウドまで幅広い環境で活用できる。

参考:CUDA Toolkit – Free Tools and Training | NVIDIA Developer ※外部サイトに飛びます

・MATLABとは

MATLABは工学・理学・経済学など幅広い分野でのデータ解析やアルゴリズム開発、モデル作成で使用される数値解析用ソフトウェアかつ、内部で使用するプログラミング言語の名称でもある。

参考:MATLAB – 技術計算言語 製品情報 ※外部サイトに飛びます

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