お客様より、学習済みモデルを用いたAIシステムのためのマシンをご相談いただきました。
システムは24時間稼働が条件で、以下のスペックを想定されています。
CPU:Core i7 3.0GHz以上
メモリ:16GB以上
HDD:500GB以上で、可能ならRAID1 (ミラーリング)
GPU:NVDIA製のGPUでGPUメモリは4GB以上
弊社からのご提案では、第12世代Core i7を搭載した構成を検討しました。
【トラブル発生リスクを軽減するためのCPU選定】
CPUはCore i7-12700 (2.10GHz 8コア + 1.60GHz 4コア)であり、ご希望のベースクロック(3.00GHz)を満たしていませんが、意図的な選択によるものです。
3.00GHzのクロックを満たすCPUにはCore i7-12700Kがありますが、この世代のモデル名末尾にKがつく製品は、クロック性能を高めた反動で消費電力が大きくなっています。それに伴って発熱も高まるため、24時間稼働の条件も含めて考えるとマシン内部の熱処理が問題になる可能性があります。
システムのAI処理そのものはGPUが行うものと推測しますが、CPU側で高負荷な処理を行わないのであれば、本構成のCore i7-12700を選択する方がトラブル発生のリスクを軽減できるかと思われます。
なお、Core i7-12700はTurboBoost機能に対応しており、TurboBoost作動時の最大クロックは3.00GHzを超える仕様です。
【AIの推論処理に適したGPU】
GPUのビデオメモリ 4GB以上を満たすことは容易ですが、4GBに近い容量でGPUを選択するとGPGPUでの利用には非力なエントリークラス製品となってしまいます。
そのため、用途を考慮してミドルクラス相当の性能を持ったA2000を選定しています。この製品は、AIの推論処理を行う限りでは一般的に利用できる性能です。
【長時間の連続稼働に耐えうるパーツ選定】
24時間稼働への対応につきましては、長時間の連続稼働に向けて耐久性の高いパーツを選定しています。
ストレージをHDDとする場合は機械的な故障リスクが高いため、SSDとしています。
筐体の冷却ファンも標準付属品から耐久性の高い製品へ換装します。
24時間稼働に際しての注意点は、動作環境の温度です。
弊社では室温25℃の環境で動作確認・負荷テストを実施しています。
およそこの温度あたりまでを安定動作の目安としていただければと存じます。それ以上の温度で運用した場合、直ちに不具合が発生するということはありませんが、30℃を超える温度課での常時稼働は故障リスクが高まりますのでご注意ください。
【長く安全にお使いいただくための注意点】
また、本事例の構成は冷却ファンを備えていますので、長期にわたって運用していると空間内の埃などを吸い込みます。これも直ちに問題が発生するということはありませんが、設備の休止日などには溜まった埃を除去するなどのメンテナンス作業を行うことで故障のリスクを軽減できます。
なお、設置環境の条件として、埃の溜まりにくい場所へ設置していただくようお願いいたします。
本構成は長期運用を想定した構成ではありますが、あくまで一般的なデスクトップマシン形態の製品です。
設置環境の性質上、粉塵の発生が避けられない場合には、専用筐体を採用した密閉型のマシンをご検討いただく選択もあるかと存じます。
【主な仕様】
CPU | Core i7-12700 (2.10GHz 8コア + 1.60GHz 4コア) |
メモリ | 16GB |
ストレージ | 480GB SSD S-ATA 高耐久モデル |
ビデオ | NVIDIA RTX A2000 |
ネットワーク | on board (2.5GBase-T x2) |
筐体+電源 | ミニタワー筐体 + 500W |
OS | Windows 10 IoT Enterprise 2021 LTSC Highend |
その他 | 2.5″SSDリムーバブルケージ 交換用リアファン12cm |
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