電磁界シミュレーション用マシン (2024年11月版)

半導体製品の開発に携わるお客様より、電磁界シミュレーションのためのワークステーションをご相談いただきました。

具体的な用途はCOMSOLの利用で、ハードウェアとしては200GB以上のメモリと1TB以上のストレージを搭載することが条件です。将来的にメモリを200GB以上に増設できる余地があるなら、初期出荷状態では128GBでもよいと伺っています。CPUは、COMSOLを波動光学モジュールで使用する際、メモリ200GBを要する大規模な三次元計算を高速に処理できるCPUをご希望いただいています。

これらの条件を踏まえて、弊社からは下記の構成をご提案しました。

CPU Intel Xeon W7-2575X 3.00GHz (TB3.0時 最大4.8GHz) 22C/44T
メモリ 合計128GB DDR5 5600 REG ECC 32GB x 4
ストレージ 1TB SSD M.2 NVMe Gen4
ビデオ NVIDIA RTX A1000 8GB (MiniDisplayPort x4)
ネットワーク on board (1GbE x1 /10GbE x1)
筐体+電源 ミドルタワー筐体 + 1000W 80PLUS PLATINUM
OS Microsoft Windows 11 Professional 64bit
その他 外付USB DVDスーパーマルチドライブ

拡張性のあるメモリ構成

メモリは32GBモジュールを4枚で、合計128GBとしました。 空きスロットが4つありますので、将来のメモリ増設にも対応しております。200GB以上のメモリ容量を実現するには、既存のモジュールと同じ32GB x4枚を追加する方法が一番シンプルな増設です。
一方で、本構成にて採用しているCPU (Xeon W7-2575X) は最大メモリチャンネルが「4」のため、処理速度を重視する場合はメモリモジュール4枚で 合計256GBとなる構成が理想的です。その場合は、既存の32GBモジュール x4枚を取り外し、64GBモジュール x4枚に交換するのが最も効果的です。COMSOLはメモリ帯域速度を重視するソフトウェアですので、処理速度を重視する場合はご一考ください。

クロック数が低いと計算に時間がかかる?

CPUはIntel Xeon W7-2575X (22コア) を採用しています。お客様のご認識通り、CPUのコア数が多くてもクロック数 (1コア当たりの処理速度) が低ければ、計算時間が延びる可能性があります。しかし、最新のCPUであれば、極端にクロック数が低いことはありません。COMSOL MultiphysicsとLumerical FDTDは、複数のモデルを並列に処理する場合などにコア数が活きてくるソフトウェアですので、コア数が多いCPUの有効性は高いです。また、メモリチャンネル数も重要で、COMSOLでは4チャンネル以上のCPUが推奨されます。

なお、ビデオカードには両ソフトの描画用として最適なNVIDIA A1000を選定しています。

■キーワード

・COMSOL Multiphysicsとは
COMSOL Multiphysicsは様々な物理学や工学分野など製造や科学研究のあらゆる分野で利用されるソフトウェア。設計やデバイス開発、解析などで用いられる。

参考:COMSOL ※外部サイトへ飛びます

・Lumerical FDTDとは
Lumerical FDTDは有限差分時間領域法を用いた電磁界解析ソフトウェア。3次元構造の広い周波数範囲での解析が可能で、複素媒質や各種材料を考慮できる。FDTD法により高速に広帯域の周波数解析が行え、位相やSパラメータの取得が可能。入射波も豊富で開放境界はPMLで実現。出力フォーマットや回路結合にも対応し直感的な操作性。マイクロ波・光通信・フォトニクス分野で研究開発に使われている。

参考:LUMERICAL FDTD (Ansys) ※外部ページに飛びます

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