研究開発の効率化に役立つ海外製コーパスのご紹介 – その1 【ユニポス】

テガラ株式会社 (弊社) は、「研究開発を加速するお手伝い」という企業理念のもと、日々研究開発に携わるユーザー様に役立つ製品やサービス、情報提供を行っております。

本記事では、研究開発に携わるお客様に代わって、最新の商品を世界中から調達代行するサービス「ユニポス -UNIPOS-」で取り扱っております4つの代表的な「コーパス」の紹介と、それらが研究開発にどのように役立つのかをまとめました。

コーパスとは?

言語データコーパスは、自然言語処理 (NLP) や音声認識システムの研究において欠かせない音の資源です。これらのデータセットを活用することで、開発者はより精度の高いモデルを効率的に作成し、研究開発のスピードを大幅に向上させることが可能です。日常的に使う多くの技術やサービスの背後で重要な役割を果たしています。

具体的には、以下のようなものに活用されています。

音声認識: スマートフォンの音声アシスタントや車の操作の音声認識精度を、コーパスで高めています

自動翻訳: Google翻訳などは、コーパスから学び、多言語の翻訳を正確に行います

チャットボット: カスタマーサポートやスマートスピーカーも、コーパスを使い自然な会話が可能です

予測変換: スマートフォンやPCの予測変換も、コーパスで学んだデータを活用しています。

文章解析:自動返信や感情分析など、文章を理解する技術にコーパスが使われています

 

コーパスは、こうした技術をもっと便利にするために使われています。
弊社で取り扱っております4つの代表的な「コーパス」をご紹介いたしますので、以下をご参照ください。

  • グローバル対応なら ELRA GLOBALPHONE
  • 幅広いメディアデータで多目的に使うなら LDC Corpus
  • 中国語の音声認識に特化するなら AISHELL
  • 多言語対応でAI開発に役立つなら DATAOCEAN AI社コーパス

 

ELRA GLOBALPHONE コーパス

製品概要

ELRA GLOBALPHONEコーパスは、カールスルーエ工科大学(KIT)によって開発され、ELRAを通じて配布されています。多言語音声認識の研究に特化した大規模な言語データセットで、20以上の言語をカバー。各言語につき約100時間の音声データと対応する書き起こしテキストが含まれています。音声は、各言語のネイティブスピーカーによる新聞記事の音読です。
言語横断的な音声技術の開発や音声合成、話者認識、言語識別などの研究”に”適しています。異なる地域の言語データをカバーしているため、多言語モデルのトレーニングに非常に役立ちます。

ELRA GLOBALPHONEコーパスの独自性は、多言語音声認識の研究に特化し、異なる言語間の音声データの一貫性を重視している点です。

どんな研究に使えるか?

  • 特徴:多言語対応(複数言語の音声データを提供)
  • 用途:グローバルな音声認識モデル開発に最適
  • 関連キーワード: 音声認識 / 自然言語処理 / 機械翻訳 / 多言語音声技術の研究

 

音声認識のデータ不足をどう解消するか?

グローバルな音声認識モデルを開発する際、特定の言語に偏らないデータが必要です。ELRA GLOBALPHONEコーパスを活用することで、複数言語のバランスの取れたデータを利用でき、グローバルな音声技術の開発が迅速に進められます。

 

LDC Corpus

製品概要

Linguistic Data Consortium (LDC) が提供するLDC Corpus は、言語学、音声処理、自然言語処理の分野で広く使用されている言語データセットの集積です。1992年に設立されたLDCは、ペンシルベニア大学に本拠を置き、言語資源の開発、収集、配布を行っています。テキスト、音声、動画など多様なメディアを扱うデータが豊富に揃っており、世界中の研究者や開発者に信頼されています。
LDCのコーパスは、学術研究から商業応用まで幅広く利用され、多言語・多ドメインにわたる高品質なデータを提供しています。

LDC Corpus の独自性は、幅広いメディアデータに対応し、特定の言語や音声に限らず、汎用性が高い点です。また、データの品質や言語資源も年々増加傾向にある点も強みといえます。

どんな研究に使えるか?

  • 特徴:多言語対応 (100以上の言語をカバー)し、テキスト、音声、映像データなど多様なメディア対応
  • 用途:自然言語処理や音声認識の研究における大規模データセット。機械翻訳、情報検索、テキストマイニングなど、言語学研究やその応用分野にも広く対応
  • 関連キーワード: 自然言語処理 / 音声認識 / 文書解析 / 言語学研究 / 機械翻訳 / 情報検索 / 音声合成 / 対話システム開発

 

高精度モデルに必要なデータ集め、どう効率化する?

高精度な音声認識やNLPモデルの開発に必要な大規模データを集めるのは非常に困難です。また生産性向上のためにも標準化されたデータフォーマットやメタデータの活用が必要です。LDCコーパスは、データ共有や比較実験の促進にも力をいれており、研究コミュニティへの貢献 はもちろん、豊富なデータでデータ収集の課題を解決し、開発者の時間を大幅に削減します。

 

AISHELL コーパス

製品概要

AISHELLコーパスは、中国語音声認識に特化したデータセットで、中国語音声処理の研究で広く利用されている標準的な言語資源です。AISHELL-1からAISHELL-4*まで複数のバージョンがあり、会話音声や雑音環境での音声データも含まれ、多様なシーンに対応。中国語の音声認識や自然言語処理モデルの開発に欠かせない存在です。
AISHELLには、以下の3つのバージョンがあります。

  • AISHELL-1: 読み上げ音声データ
  • AISHELL-2: 自然発話データ
  • AISHELL-3: 大規模かつ高精度の多人数話者による発話データ
  • AISHELL-4: 会議シーンの多チャンネル音声データ

AISHELLコーパスの独自性は、雑音環境や自然な会話データを豊富に含み、実用的な音声モデルのトレーニングができる点です。

どんな研究に使えるか?

  • 特徴:標準中国語 (普通話) に特化した音声認識データセット
  • 用途:中国語会話、音声アシスタント、話者認識、音声合成、会話型AIの開発に最適
  • 関連キーワード: 音声認識 / 中国語の自然言語処理 / 会話型AI / 音声合成 / 話者認識 / 音声分離

 

中国語音声認識の精度を上げるには?

中国語の音声処理は、中国語特有の声調、方言の影響もあり、音素や音調が複雑で、精度向上が難しい分野です。AISHELLコーパスは、そのような課題に対して高精度なデータを提供し、言語モデルのトレーニングを効果的にサポートします。これにより、中国語音声認識システムのパフォーマンスを大幅に向上させることができます。

 

DATAOCEAN AI社 コーパス(言語データ)

製品概要

DATAOCEAN AI (Speechocean) の言語コーパスは、中国市場を中心に、音声・テキスト・画像データを幅広くカバーするAIトレーニング用のデータセット(※)です。中国語をはじめ、中国語をはじめ、英語、日本語など50以上の言語に対応し、商業用途や研究用途向けの自然言語処理タスクに最適です。

AIトレーニング用データセットとは、AIモデルを学習させるために使用される大量のデータのことです。AIは、このデータを基にパターンを学び、問題解決のための予測や判断を行います。データセットの質は、AIシステムの性能や精度に大きく影響するため、高品質なデータが必要です。

  • 音声データ:音声認識や音声アシスタントの訓練に使用
  • 画像データ:  物体認識や自動運転などで使われる、視覚情報をAIに学習させるデータ
  • テキストデータ: 自然言語処理 (NLP) やチャットボットの文章理解と生成に使用

DATAOCEAN AI (Speechocean)の独自性は、柔軟性の高さです。カスタマイズ可能で、厳格な品質管理を経た多言語データセットが提供されているため、AI開発を中心とした幅広い用途に使用できます。

どんな研究に使えるか?

  • 特徴:中国語を含む50以上の言語に対応した、高品質で多様なAIトレーニング用データセット
  • 用途:多言語対応のAIシステム開発、音声認識、機械翻訳、感情分析、クロスリンガル学習などに最適
  • 関連キーワード: AI音声アシスタント / 自然言語処理 / 音声認識 / マシンラーニング / 多言語処理 / クロスリンガル学習 / 音声合成

 

多言語データの統合に困っている?

多言語間のデータ統合は、AIモデルのトレーニング時に大きな課題です。DATAOCEAN AIのコーパスは、一貫したアノテーション方式と統一されたメタデータを提供するため、多言語処理が必要な場合でも簡単に導入可能です。これにより、効率的なデータトレーニングと高精度な多言語AIモデルの開発が実現します。

 

関連検索キーワード :

言語コーパス NLPデータセット 音声認識コーパス 多言語モデル 音声処理 AIトレーニング 音声処理 自然言語処理 機械学習データ 音声技術開発 ELRA GLOBALPHONE LDC Corpus AISHELL DATAOCEAN AI

今回の記事では、4つの代表的な「コーパス」を紹介いたしました。
次回、第二回では、これらのコーパスが、どういった研究開発に役立つかを、研究フェーズの視点からご紹介いたします。

テガラ株式会社のプラットフォーム

ユニポスでは、 海外製のコーパスをはじめとした、研究開発を効果的に進めるための専門的なソフトウェアのほか、国内未発売の最新ハードウェアの調達実績も多数ございます。また、弊社にはカスタムPC製作で培った技術力と、海外ベンダーとの良好な関係性があります。それらをもってお客様のお困りごとを解決すべく、ソフトウェアやハードウェアのサポートにも力をいれております。

研究開発に必要な時間を確保し、効果的にプロジェクトを進めていただくためのアイテムを、ご紹介し続けたいと考えております。
気になる製品がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

サービス紹介