セラミックスの研究開発に携わるお客様より、Quantum Espressoを用いた第一原理計算用のワークステーションをご相談いただきました。
ご予算は200万円程度で最適な構成をご希望です。
導入するワークステーションは第一原理計算専用機として運用される予定で、計算対象は100原子程度で多くても200原子程度の想定です。
また、別のマシンでQuantum Espresso を動作させた際、メモリを100GBほど使用していたため、メモリ搭載量は128GB以上をご希望いただきました。
希望のOSはWindowsで、WSL上でQuantum Espressoを動作させたいと伺っています。
お客様から頂戴した情報を踏まえ、弊社からは下記の構成をご提案しました。
CPU | Intel Xeon Gold 6438Y+ 2.00GHz(TB 4.00GHz) 32C/64T × 2 |
メモリ | 256GB REG ECC |
ストレージ | 1TB SSD M.2 |
ビデオ | NVIDIA T400 4GB (MiniDisplayPort x3) |
ネットワーク | on board (10GBase-T x2) |
筐体+電源 | タワー型筐体 + 1000W |
OS | Microsoft Windows 11 Professional 64bit |
その他 | HyperThreadring無効化 |
Quantum Espressoの動作に必要なマシンスペックは?
第4世代Xeon Scalableを採用した2CPU構成です。
Quantum Espressoには明確な動作要件は定められていません。
そのため、ハイエンドなコンピュータでなくとも動作させること自体は可能ですが、動作時のパフォーマンスはマシンのスペックに依存します。
Quantum Espressoは一般的に、CPUコア数やGPUなど、並列処理性能が重視されることが多く、それに応じたメモリ容量も必要になります。
本構成では、CPUの並列処理性能を重視して、ご予算内でコア数を重視したCPUの選定を行っています。
Intel Xeon Gold 6438Y x2基には合計64のコアが搭載されており、高い並列性能が期待できます。
また、メモリ容量は現在行っている計算でも100GBを消費しているということでしたので、将来的に計算規模が大きくなる可能性を考慮して、ご指定の2倍の256GBを搭載しています。
なお、Quantum EspressoにはGPGPUオプションが実装されていますが、基本的には倍精度演算 (fp64) の利用が想定されています。
fp64性能が確保されたGPUは非常に高額であり、本件のご予算内に収めることが大変厳しい状況でした。
そのため、ご提案ではご予算内に収めることを優先し、ビデオカードはGPGPUオプションを考慮せず描画のみを考慮したエントリークラスのワークステーション向けモデルであるNVIDIA T400 4GBを選択しています。
WSL上でのQuantum Espressoの動作について
Quantum EspressoをWSL上で利用する場合の注意点として、WSL上では64を超えるスレッドが正しく認識されない場合があるとの情報を確認しています。
参考:WSL 2 uses half the number of cores on AMD Threadripper 3990X
本構成は2CPU合計で64コア/128スレッド搭載のため、この内の半分しかWSL上で認識されない可能性があります。
上記の問題を避けるため、今回は出荷時にCPU設定でHyperThreadingを無効化し、64コア/64スレッドで利用する形とすることを想定しています。
これにより、64ある物理コアをすべてWSL上で利用できる想定です。
本事例の構成は、お客様から頂戴した条件を元に検討した内容です。
いただいた条件に合わせて柔軟にマシンをご提案いたしますので、掲載内容とは異なる条件でご検討の場合でも、お気軽にご相談ください。
キーワード・Quantum Espressoとは
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