化学製品の研究開発に携わるお客様より、計算用マシンの導入をご相談いただきました。
現在稼働中の分子動力学シミュレーション用マシンは故障等が多いため、更新を検討しているというご相談です。
ご予算は300万円程度で、上記の用途に適した構成をご希望いただきました。
現在使用しているマシンのスペックは以下の通りです。
CPU:Intel Xeon Gold 6242R (3.10GHz 20コア) メモリ:192GB REG ECC ストレージ:4TB HDD S-ATA ビデオ:NVIDIA RTX A4500 20GB OS: Windows 11 Pro for Workstations 保証期間:3年 |
このマシンは、分子動力学シミュレーションで分子集合体のMD計算と一般的な解析に使用しており、機械学習での利用も想定していたとのことです。
また、MD計算のために夜通し連続稼働させることが多いと伺いました。
今回導入するマシンでは、より高性能なCPUで計算時間を短縮したいという考えがあり、VMDを用いての視覚的な分子集合系の確認や機械学習での使用もあるため、最適なビデオカード選定が条件になります。
なお、量子化学計算は頻繁には行わないため、メモリは現行と同程度で充分という情報をいただきました。
反対に、ストレージ容量はいまの4TBでは足りないため、20TB程度のHDDがご希望です。
これらの情報を踏まえて、弊社からは下記の構成をご提案しました。
CPU | Intel Xeon Gold 6438Y+ (2.00GHz 32コア) x2 |
メモリ | 256GB REG ECC |
ストレージ | 20TB HDD S-ATA |
ビデオ | NVIDIA RTX A4500 20GB |
ネットワーク | on board (10GBase-T x2) |
筐体+電源 | タワー型筐体 + 1000W |
OS | Microsoft Windows 11 Professional 64bit |
その他 | 「あんしん+」3年引き取り修理保証 |
第4世代Xeon Scalableの2CPU構成
2024年3月時点で最新の第4世代Xeon Scalableシリーズを搭載したデュアルCPU構成です。
合計64のコア搭載数により、Intel Xeon Gold 6242Rと比較してもMD計算時のより高いパフォーマンスが期待できます。
NVIDIA RTX A4500 20GBで機械学習は可能?
ビデオカードはご予算に合わせて、ご利用中のマシンと同じNVIDIA RTX A4500 20GBを選択しています。ご利用予定のソフトウェア「VMD」のシステム要件において、ビデオカードは“OpenGLでのハードウェアアクセラレーション可能なビデオカードを強く推奨”とのみ記載があります。NVIDIA RTX A4500 20GBはミドルレンジのワークステーション向け製品であり、OpenGL 4.6にも対応しているため、VMDの利用に十分なスペックを持っていると考えられます。
また、ビデオカードの性能はハードウェアアクセラレーションに対応したソフトウェアなど、一部の処理を除いて大きく影響しないのに対し、CPUのスペックは全体の処理性能に直結するため、GPUよりもCPUを重視した構成としています。今後DeepLearningなども行う場合、NVIDIA RTX A4500 20GBは推論用途には十分なパフォーマンスが期待できますが、学習用途にはスペックが不足してしまう可能性がありますのでご注意ください。
また、本マシンの電源容量は現在の構成用に選定されているため、GPUの増設分などが考慮されていません。
GPUの増設など消費電力の大きい機器を増設する予定がある場合は、より大容量電源ユニットへの変更も可能ですのでお気軽にご相談ください。
本事例の構成は、お客様から頂戴した条件を元に検討した内容です。
いただいた条件に合わせて柔軟にマシンをご提案いたしますので、掲載内容とは異なる条件でご検討の場合でも、お気軽にご相談ください。
■キーワード・VMDとは VMD (Visual Molecular Dynamics) は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の理論・計算物理学グループによって開発されている分子モデリングソフトウェア。3Dグラフィックを用いて分子をモデリング・可視化・解析することができ、MacOS X、Unix、Windowsに対応している。 ・DeepLearningとは
|
■ このPC事例に関する詳細、お問い合わせはこちら ※事例の名称またはご希望の条件などをご記入ください。 |