実験やデータ収集では様々な機材が必要になりますが、その一例として異なる機材・器具同士を設置・固定する治具が必要になるケースがあります。
テガラでは、お客様の研究開発に必要な治具の試作や、研究開発に必要な環境を一式でご提供するサービス (※)をご提供しています。今回は、小型動物の行動解析を目的とした環境づくりの例をご紹介します。
※研究開発に必要な環境を一式でご提供するサービス 「テガラのターンキーシステム」についてはこちらをご参照ください
昆虫等の小型生物の動きを撮影するための実験環境を作ってみる
行動解析ツール「DeepLabCut」を使って昆虫の動きを解析する場合、対象となる昆虫の動きを撮影する必要があります。
今回の環境作成では、撮影対象を上下どちらからでも撮影できることを条件としたシンプルな仕組みを構築しました。
動物の行動を分析するためのオープンソースのディープラーニングツール。動画から動物の特定の身体部位を識別しマーカーレスでの追跡が可能で、精度の高い動きの分析を提供する。 |
具体的には、下記の要件を満たす仕組みを想定しています。
・撮影対象 (昆虫)を置く場所があり、上下から状態を確認できること ・カメラを上下入れ替えできること ・照明となるライトを固定できること ・動画がブレないよう、安定性があること |
撮影環境のセッティング
前述の要件を踏まえて、以下のような撮影環境を作成しました。
構築した環境の概要
大まかに、真ん中のアクリルプレートがシャーレを含む撮影対象 (昆虫) を置くスペース、それを挟むように上部にカメラ、下部にライトを固定する治具という構成です。カメラとライトの位置を入れ替えることで、シャーレ下側からも撮影できます。
写真では曇った質感のアクリルプレートを取り付けていますが、下側から撮影する際には、透明なアクリルプレートに変更します。
また、ライトは自由にON/OFFできますので、撮影対象や分析したい部位などに合わせて切り替え可能です。例えば、昆虫の脚の端や触覚などの先端を分析する場合、ライトを使うことによってエッジがはっきりとします。
用意・作成したパーツ
もう少し具体的なパーツ構成を見ていきましょう。
全体を支える安定した支柱として、社内にあったドリルスタンドを採用しました。
しかし、カメラや昆虫用プレートの固定にも治具が必要です。
カメラ用の治具は市販のクランプで対応できましたが、昆虫の入ったシャーレを置くアクリルプレートを固定する治具はちょうどいいものが無かったため、CADで設計を行い3Dプリンタで出力しました。
3Dプリンタで出力した治具をドリルスタンドに固定し、試験目的で複数のアイテムを載せて耐荷性能を検証しました。
結果として、アクリルプレート + 小物類 + 昆虫 程度の重量であれば、強度上の問題はありませんでした。
まとめ
今回は、生物の動画解析用の撮影、実験を想定した撮影対象物やカメラ、ライトの固定用治具を設計、試作しました。
テガラでは、お客さまのご要望に応じた物品の調査や提案、治具などの設計・試作サポートを承っています。
ご相談の時点では、はっきりとしたイメージが固まっていなくても問題ありませんので、「こんなものが欲しい」というご要望をお聞かせください。
今回の治具を含んだ「DeepLabCut ターンキーシステム」事例のご紹介はこちら :
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