VASP/物性研究用マシン

事例No.PC-10865をご覧になったお客様より、物質科学ソフトウェア「VASP」で物性研究を行うためのワークステーションをご相談いただきました。
鉄などの金属とその酸化物膜、その界面に高分子を配置した系で表面の電子状態を数百ほどの原子数で計算する想定です。
また、将来的には第一原理分子動力学計算も予定されており、これらの用途に適したワークステーションをご希望です。

希望する条件は以下の通りで、より安価に高速計算を行うことが可能な場合は、GPUでの計算も検討したいと伺っています。

・CPU:12コア以上(できれば18コアや24コア)
・メモリ:128GB以上
・ストレージ:1TBほどのSSD
・OS:Ubuntu
・使用するソフトウェア:VASP 6.4.2

ご連絡いただいた情報を踏まえて、弊社からは下記の構成をご提案しました。

CPU Intel Xeon W7-2495X (2.50GHz 24コア)
メモリ 128GB REG ECC
ストレージ 1TB SSD S-ATA
ビデオ NVIDIA T400 4GB
ネットワーク on board (2.5GbE x1 /10GbE x1)
筐体+電源 タワー型筐体 + 1000W
OS Ubuntu 22.04

最新の第4世代Xeon Scalableシリーズを搭載した構成です。
24コア製品のIntel Xeon W7-2495Xを選択していますが、ご希望に応じて変更することも可能です。

最大200原子ほどの計算を想定して、メモリ容量は128GBとしています。
これ以上の原子数の計算をご予定の場合は、メモリ容量を256GBに拡張することもご検討ください。

ストレージはご希望に沿って1TB SSD S-ATAを搭載しています。
最大2台のHDDを搭載できますので、ストレージ構成の変更をご希望の際にはお申し付けください。

CPU計算仕様とGPGPU仕様を比較した場合、高精度な計算ではGPGPU仕様が優位ですが、価格面ではCPU計算仕様が優位です。
VASPのGPGPU対応に関する公式ドキュメントでは、GPGPUを利用する際は倍精度演算(fp64)性能の高いGPUを利用することが求められています。
加えて、下記のオンラインマニュアルにはGeForceシリーズやワークステーション向けRTXシリーズなどは適していない旨が明記されています。

参考:OpenACC GPU port of VASP – Vaspwiki外部サイトへ飛びます

fp64性能を考慮したGPUとして、NVIDIAの現行製品ではA100やH100が挙げられますが、これらの製品はカード単体で本事例のマシン価格より高額です。また、カードの冷却方式の仕様上、GPGPU専用筐体での利用が必要です。

上記のポイントを踏まえ、本事例では価格を優先したCPU計算仕様をご案内しています。

本事例の構成は、お客様から頂戴した条件を元に検討した内容です。
いただいた条件に合わせて柔軟にマシンをご提案いたしますので、掲載内容とは異なる条件でご検討の場合でも、お気軽にご相談ください。